「戦禍や平和の問題についても相手がどんな考えなのか、しっかりと知り、通じる言葉を見つけなくては」。第二陣で中国と韓国を巡り、互いの歴史認識を語り合った体験を反すうし、両国に住む被爆者の支援活動に取り組んでいる。
健在を確認した南京市在住の王大文さん(79)を広島国際文化財団の協力を得て十月に招いた。中国から訪れて広島市で初めて健康管理手当を申請し、認められた元留学生の検査入院から滞在中の暮らしまで心配りした。
「広島で同じ時代を生きた者同士として話が弾んだ」といい、王さんは「日本の人の真心を知った」と帰国した。国の政治体制や歴史認識を超えて、人間として触れ合い、きずなを深めた。
その後も、釜山などに住む被爆者の渡日治療を世話したり、元韓国広島総領事の著書の翻訳出版に協力するなど「自分なりにできること」を、相手との交流を楽しみながら続けている。
「政治的にかみ合わなくても交流はできるし、誤解を解くきっかけにもなる」と肩ひじ張らず話す。ミッション訪中の際に出会った書家を通じ、参加している広島平和美術展に今年は絵画の出品も呼び掛けるつもりだ。
【写真説明】広島市原爆被害対策部を訪ねた中国人被爆者王さん(左)の手当申請に付き添う井下さん(2004年10月5日)
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