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被爆者調査、回収率6割で高い関心 認定問題背景か '08/7/18

 ▽広島市、月末まで延長

 原爆による心理的な影響を解明するため、広島市が実施している「原爆体験者等健康意識調査」の基本調査票の回収率が十五日の回答期限までに59・7%に上った。二〇〇二年の前回調査の52・1%を上回っており、関心の高さがうかがえる。

 調査対象は、原爆投下前から市内に住む被爆者▽「黒い雨」などの体験者▽一九五〇―五二年の市内転入者の計三万五千三百三十人。このうち二万九百八十二人から回答が寄せられた。さらに百六十五人について、病気などを理由に家族らから「回答できない」との連絡があった。

 市原爆被害対策部は「高い回収率の理由ははっきりしないが、原爆症認定問題がニュースになり、原爆の影響に関心が高まったためでは」とみる。より多くの回答を分析に反映させるため、期限を今月末まで延長。未回答の約一万四千人にはがきを送り、協力を呼び掛ける。

 調査は心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、被爆者や原爆投下直後の「黒い雨」体験者の心理的影響を科学的に検証する狙い。現在の健康状態や生活状況、原爆に関するストレス症状など十六項目を尋ねている。(森田裕美)


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