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核兵器廃絶は「真理」 広島平和宣言骨子 '08/8/2

 広島市の秋葉忠利市長は一日、平和記念式典(六日)で読み上げる「平和宣言」の骨子を発表した。核兵器廃絶は原爆体験の悲劇と苦悩から生まれた「真理」だと位置付け、市民が都市単位で協力して実現しようと呼び掛ける。十一月の米大統領選で、廃絶を求める声に耳を傾けるリーダーが誕生することへの期待も示す。

 宣言では原爆の心身への影響は長年、過小評価されてきたと指摘する。さらに、百九十カ国に及ぶ核拡散防止条約(NPT)批准国数などのデータを示し、核兵器廃絶は世界の多数派の意思だと強調。「多数派の声に耳を傾ける」米国の新大統領誕生を期待する。

 秋葉市長が会長を務める平和市長会議が「ヒロシマ・ナガサキ議定書」で、二〇二〇年までの核兵器廃絶のために目指すべき方向を四月に示したことを踏まえ、「子どもたちの未来を守る強い意志と行動力」の必要性を強調。都市の連携の重要性も訴える。

 日本政府には日本国憲法を順守し、核兵器廃絶に向けた主導的な役割を担うよう求め、高齢化した被爆者の実態に即した援護策を求める。九月二日に広島市である主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)にも触れ、報復ではなく和解の精神で平和のメッセージを発する「被爆者の哲学」が世界に広まることへの期待も表明する。

 平和宣言で、米大統領選を意識した表現を盛り込むのは珍しい。その理由について、秋葉市長は「核超大国の大統領が世界の多数の声に耳を傾けることは人類を核戦争から守ることにつながる」と説明した。(森田裕美)

【写真説明】「核兵器廃絶は原爆体験の苦しみから生まれた真理」。平和宣言の骨子を発表する秋葉市長


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