中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索
首相、8・6式典に参列 「聞く会」で被爆者と対面 '08/8/2

 福田康夫首相は六日の広島市の平和記念式典と同日の「被爆者代表から要望を聞く会」に出席する。町村信孝官房長官が一日、発表した。九日の長崎市の式典にも参列する。

 広島市の式典はこれで十五年連続で首相が参列し、昨年九月に就任した福田首相は首相としては初めて。広島市の「聞く会」に首相が出席すれば二〇〇一年の小泉純一郎首相(当時)以来となる。

 全国で原爆症認定をめぐる集団訴訟が続く中、原告団は「全員認定の政治決断」を首相に求めており、広島での発言が注目される。町村長官は会見で「既に認定基準は思い切った緩和措置が取られ、基本的には今変える考えはないが、被爆者の方々の現場の話を首相自身が真摯(しんし)に聞くことになると思う」と述べた。

 昨年は安倍晋三首相(当時)は「聞く会」には出席しなかったが前日の八月五日に被爆者側と会い、認定制度見直しを明言した。こうした経緯もあり、地元の被爆者七団体からは福田首相出席への期待の声が上がった。

 広島県被団協の坪井直理事長(83)は「被爆者の声を届けたい。被爆者をより多く救う方向で認定制度の見直しを求めたい」。もう一つの県被団協の金子一士理事長(82)は「国が先頭に立って、被爆者救済の理念を形にするべきだ」と注文する。

 韓国原爆被害者対策特別委員会の丁基和(チョンキファ)事務局長(49)は「被爆者救済の流れができた今こそ政治決断のチャンスだ。在外被爆者の現地での医療拡充などを訴えたい」と話す。

 「被爆地を訪れるからには首相はすべての被爆者を救う覚悟を」と言う広島県朝鮮人被爆者協議会の李実根(リシルグン)会長(79)は、一方で内閣改造で舛添要一厚生労働相が留任したことを評価。「大臣のもとで前進があった。海外被爆者対策などでやるべきことは残っており、しっかりやってほしい」と語った。(道面雅量、田中美千子)


MenuTopBackNextLast