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平和と復興の軸線が再び脚光 '08/8/4

 国名勝となった平和記念公園(広島市中区)の中央を貫くライン。公園の設計者の故丹下健三氏(1913―2005年)が「軸線」と呼び、平和と復興の象徴と位置付けた。その理念が再び注目を集めている。

 原爆ドームと原爆慰霊碑、そして原爆資料館を一直線上に結ぶ、設計の思想。公園建設をはじめ、復興の原動力となった1949年の広島平和記念都市建設法公布と同時にプランは採用された。55年に完成した祈りの空間は平和の誓いの場を創出し、強いメッセージを発信してきた。

 理念は、軸線上にあたる公園外の建築物に受け継がれ、基町高層アパート(中区)や広島グリーンアリーナ(同)はこのラインを意識して設計された。新球場建設で役割を終える広島市民球場(同)一帯も線上にある。跡地利用をめぐり、遊歩道などの設計に生かす案も出た。実現しなかったものの、故岡本太郎氏の原爆壁画「明日の神話」誘致場所も、丹下氏の思いを今につなげようと球場北側の庭園だった。

【写真説明】丹下氏が設計した平和記念公園。(手前から)祈りの泉、原爆資料館、原爆慰霊碑、原爆ドームが一直線に並び、都市の「軸線」を構成する(撮影・山本誉)


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