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被爆の後輩へ朗読劇 劇作家村井志摩子さん、東京であすから '08/8/4

 ▽「活動の原点」自ら舞台へ

 原爆をテーマに「広島の女」シリーズの上演を続ける広島市中区出身の劇作家村井志摩子さん(80)が、被爆死した母校、県立広島第一高等女学校(県女=現皆実高校)の後輩をしのんで出版された追悼集を使い、朗読劇「妹よ!」を五、七、八日の三回、東京都新宿区の新宿文化センターで上演する。

 追悼集は「原爆・八月六日 平和の祈り」。中区小網町周辺で建物疎開の作業中に被爆死した一年生二百二十三人をはじめ、犠牲者をしのんで当時の一年生の生存者でつくる有朋会四十五期追悼の会(宍戸和子代表)が昨年夏、出版した。

 村井さんが選んだ「妹よ」は、当時、県女の三年生だった女性が「きれいなドレスも 美味(おい)しいケーキも 恋も 知らないままに 十二で逝った妹よ」と、一年生の妹の死を悼む詩である。その他、数編を俳優がピアノ演奏に合わせて朗読する。

 村井さんは一九四五年春に県女を卒業し、大学に進学。被爆は免れたが、多くの友人を失った。「被爆の事実と向き合い、平和への願いを表現したい」と八四年から海外も含めて毎年夏、創作劇の上演を続けてきた。今回、初めて創作を離れて手記の朗読に挑み、「母校の犠牲者への思いは活動の原点」と自らも病身を押してステージに立つ。

 追悼記の編集に参加した四十五期生の高橋冨久子さん(75)=東京都武蔵野市=は「事実を広く伝え、未来を奪われた友の生きた証しを残したい」と、上演にも協力している。上演委員会Tel03(5228)2633。(北村浩司)

【写真説明】第一県女の追悼集を手に打ち合わせする村井さん(右)と高橋さん


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