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45年組の集合写真公開 広島・山陽高慰霊式 '08/8/7

 学徒動員中に大半の生徒が被爆死した旧制山陽中・山陽工業学校の一年生全七学級の集合写真が六日、広島市西区の山陽高であった慰霊式典で公開された。あどけなくも真っすぐな視線、引き締めた口元…。遺影に見入る後輩たちに、遺族から「平和を築いて」との願いが託された。(岡田浩平)

 「うちの兄。かわいがってくれたんよ」。坂東寿美枝さん(67)=広島県坂町=は、式典控室に掲示された七枚のうち、「西亀組」の一人を指し涙をぬぐった。兄の尾崎芳徳さん=当時(12)=の遺骨は見つかっていない。

 堀内正雄さん(69)=同県熊野町=も、兄の和男さん=当時(12)=の姿を捜し当て、「ひょうきんな兄だった」と懐かしんだ。

 山陽中の四学級、山陽工業学校の三学級は計四百四十一人。「広島原爆戦災誌」には、約四百十人が雑魚場町での建物疎開中に被爆し「大惨害をこうむった」とある。

 写真は、二〇〇〇年に事務室の金庫で見つかった。「原爆犠牲者写真」と表紙に記したA5判のノートに張り付けてあった。学校側は「一九四五年入学生の写真は遺族にとっても貴重。核兵器廃絶と平和について在校生が考えるきっかけにもなる」と式典で初めて掲示。近く発刊の「山陽百年史」にも収めた。

 入学後四カ月で奪われた多くの命、夢、希望。坂東さんと堀内さんのそばで写真を見詰める生徒たちは、二人の思い出話と平和への願いに聞き入った。二年笹田真吾さん(16)は「これからの平和をつくるのは僕たちの役目」。きりっと口を結んだ。

【写真説明】山陽中と山陽工業学校1年の学級写真を前に、堀内さん(左から2人目)坂東さん(同3人目)の話を聞く笹田さん=左端(撮影・浜岡学)


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