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平和考える船旅が幕 広島湾で15年、燃料高響く '08/8/8

 戦争の遺構や自衛隊、米軍の関連施設をめぐる「スタディ・クルージング」が七日、広島湾であった。一九九四年以降、「原爆の日」の翌日に恒例となっている平和学習イベントだが、燃料費の高騰でフェリーの貸し切り料金が昨年から倍増。主催する市民グループは「残念だが今回で休止する」としている。

 学生や親子連れ、韓国からの団体客ら昨年より七十人多い約二百人を乗せた貸し切りフェリーが広島港(広島市南区)を出港。被爆者が大勢運び込まれた似島、在日米軍の秋月弾薬庫(江田島市)、海上自衛隊呉基地(呉市)など計十カ所を五時間かけて巡った。

 客室では、在日米軍や自衛隊に詳しい特定非営利活動法人(NPO法人)「ピースデポ」の湯浅一郎代表が甲板に出た参加者にも聞こえる船内放送で解説。講演では、江田島の海軍兵学校出身の宗像基さん(83)=廿日市市=が、倉橋島にあった特殊潜航艇部隊に入隊した経験を話した。

 平和記念式典に参加するため高知市から広島市内の実家に帰省中の小学校教諭宮川真幸さん(27)は「最後と聞いて参加した。被爆地の近くに大きな基地があるという現実をあらためて体感し、平和の大切さを子どもに教えるヒントが得られた」と話していた。(岩成俊策)

【写真説明】海上自衛隊呉基地を船上から見学する参加者たち


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