中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索
64年目の祈りの朝 広島きょう原爆の日 '09/8/6

 米国が広島市民の頭上で核兵器をさく裂させて64年。被爆地広島は6日、原爆の日を迎えた。爆心地に近い広島市中区の平和記念公園では午前8時、原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)が営まれる。鎮魂の祈りとともに、核兵器廃絶に向けた力の結集を国内外に訴える。

 式典は原爆死没者名簿の奉納で始まる。この1年間に亡くなったり、新たに死亡が確認されたりしたのは5635人。その名を記した3冊の名簿を、秋葉忠利市長と遺族代表2人が原爆慰霊碑に納める。長崎で被爆し、広島での奉納を希望する4人分を記した1冊も一緒に納める。

 遺族代表や被爆者代表に続き、麻生太郎首相、江田五月参院議長たちが献花。デスコト国連総会議長、本人の希望で参列するマレーシアのマハティール元首相も花を手向ける。

 原爆が投下された8時15分、遺族代表の西村知子さん(35)=安佐南区=と、こども代表の高南小6年来島圭介君(11)=安佐北区=が「平和の鐘」を鳴らし、参列者が1分間黙とうする。

 核兵器をめぐる国際情勢はオバマ米大統領の就任で一変。廃絶を訴える被爆地に順風が吹き始めた。秋葉市長は平和宣言で世界の市民が大統領を支持し、核兵器廃絶のため活動する責任があると指摘。廃絶を願う多数派の市民を「オバマジョリティー」と呼び、力を結集して2020年までに核兵器廃絶を実現しようと、訴える。

 続いて、こども代表の矢野小6年矢埜哲也君(12)=安芸区=と、五日市南小6年遠山有希さん(11)=佐伯区=が「平和への誓い」を読み上げる。

 麻生首相と藤田雄山広島県知事、デスコト国連総会議長もあいさつ。国連の潘基文(バンキムン)事務総長のメッセージをセルジオ・ドアルテ軍縮上級代表が代読する。

 41都道府県の遺族代表や、過去最多だった昨年の55カ国を上回る59カ国の大使たちが出席する。被爆者の高齢化を踏まえ、会場のテント席は昨年より1500増の5500とする。公園内に点在する碑でも学校や同窓会、職場単位の慰霊の集いが続く。(長田浩昌)

【写真説明】夕日に色づく雲の下の原爆ドーム。あの日から64年、鎮魂と平和への祈りが広島を包む=5日(撮影・高橋洋史)


MenuTopBackNextLast