中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索
核軍縮、機運高めて 被爆地の声 オバマ氏来訪期待 '09/8/7

 衆院選の前哨戦の最中に迎えた8月6日。「核兵器のない世界」を提唱したオバマ米大統領と、衆院選後に選ばれる首相に何を期待し、注文するのか。国内外から被爆地広島に集った人々に聞いた。オバマ氏には広島訪問を、首相には核兵器廃絶へのリーダーシップ発揮を求める声が多く出た。

 オバマ氏の演説を多くの人が歓迎した。千葉県鎌ケ谷市の主婦上田敦子さん(55)は「プラハではなく広島で聞きたかった」と振り返る。東京都板橋区の看護師橋間富貴子さん(30)は「今は核兵器がなくなるかどうかの瀬戸際。ぜひ広島にきて」と呼び掛けた。

 広島市中区の小学6年松葉唯子さん(11)は「まず米国が率先して核兵器をなくさないといけない」との思いを抱く。安佐南区の会社員佐々木和也さん(38)は「具体的な数値目標を立てて行動を」、西区の大学4年及川皓司さん(24)は「劣化ウラン兵器の禁止にも取り組んで」とオバマ氏に求めた。

 大阪市東成区の会社員山田崇広さん(23)は「米国では原爆投下を正当化する世論も多い。オバマ氏は認識を改めるメッセージを発してほしい」と、米国世論のさらなる高まりを期待する。

 一方で、核兵器廃絶に向けた日本政府の動きが鈍いとの受け止めも出た。安佐北区の主婦野島佑子さん(50)は衆院選後に選ばれる首相に「核兵器容認とも見える政府の姿勢を改め、平和と核軍縮でリーダーシップをとってほしい」と要望。大阪府東大阪市の会社員小沢秀二郎さん(41)は「広島、長崎だけでなく、国を挙げて平和を訴えて」と話す。浜松市南区の主婦松本由佳さん(38)は「広島で盛んな平和学習を全国に広めるべきだ」と求める。

 原爆を投下した米国への思いは複雑だ。被爆2世でもある呉市の永原富明さん(62)は「米国は軍事産業の国。われわれがオバマ氏の背中を押したい」と意気込む。原爆で母を亡くした西区の中川滝彦さん(66)は「オバマ氏は広島に来て被爆者と遺族に頭を下げてほしい」と謝罪を求めた。

 世界では戦争や紛争が後を絶たない。イラク戦争で仲間を失った米国の大学院生ベンジャミン・キングさん(29)は「平和のための戦争などない。戦争以外の解決策を編みだして」と語気を強めた。廿日市市の主婦伊藤泉水さん(57)は「日米のトップが手を携え、歩み寄って核兵器廃絶を実現してほしい」と注文した。


MenuTopBackNextLast