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原爆正当化発言に失望感や怒り訴え 広島の被爆者ら '07/7/5

▽「核廃絶の道遠い」

 米国のロバート・ジョゼフ核不拡散問題担当特使が原爆投下を正当化する発言をしたことに対し、広島の被爆者や市民は四日、失望感や怒りを訴えた。

 核戦争防止国際医師会議(IPPNW)日本支部顧問で入市被爆者の横路謙次郎さん(81)は「人間を殺してはならないという視点が抜け落ちている。原爆の非人道性を認めない限り、核兵器廃絶への道は遠い」。広島県被団協(坪井直理事長)の畠山裕子事務局次長(68)も「核兵器の恐ろしさを知らない人に、核不拡散という仕事ができるのか」と憤った。

 もう一つの県被団協の金子一士理事長(82)は「自分は核兵器を持つが、おまえらは持つな、という米国の核政策の矛盾がにじんでいる。これでは北朝鮮やイランの核政策転換は期待できない」と語気を強め、ワールドフレンドシップセンター理事長で被爆者の森下弘さん(76)は「体験者が声を上げるだけで油断せず、いかに原爆に正当性がないかを若い世代も含めて学び、もっと伝えていかなければならない」と自戒を込めた。

 国内でも原爆投下を「しょうがない」と発言した久間章生前防衛相が引責辞任したばかり。首相官邸をこの日訪問し、久間発言に遺憾の意を表明した秋葉忠利広島市長は米特使の発言に対し、「米の政府首脳も広島、長崎についてもっと理解するべきだ」と批判した。(森田裕美、石川昌義、金崎由美)


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