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競演 平和の祈り 原爆の日関連行事 '07/7/15

 被爆六十二年目を迎える広島原爆の日の八月六日に合わせて、広島市内では歌や演奏で、演劇で、ミュージカルで、平和を訴えるイベントが数多く繰り広げられる。

 【音楽】若者に向け発信

 八月五日正午―七時まで、広島市中区のアリスガーデンでは、野外イベント「広島の歌声」を開催。広島のバンド十組が世界に向けてメッセージを発信する。無料。

 四人組のロックバンド「扇風機mania」のリーダー藤原啓志(23)が呼び掛けて初めて開く。被爆者の祖母から原爆や戦争の恐ろしさを聞いて育った藤原は、「8・6が何の日か知らない世代が全国的に増えてきていることに不安を感じている」という。

 「十代、二十代に足を運ばせ、ストレートに平和を訴えるには音楽が一番」。集客が期待できる市内の中心部での野外ライブを企画した。本番の舞台ではオリジナル曲「広島」を力の限り演奏する。

 会場には千人の観客を集めて、一人一人に折り鶴を作ってもらい、8・6の平和記念式典に持参する。

 広島市東区出身の歌舞伎の三味線奏者野澤松也(51)は、八月六日午後六時半から同市中区のまちづくり市民交流プラザで、原爆をテーマにした創作浄瑠璃「広島咲希望花(ひろしまにさいたきぼうのはな)カンナ」を上演する。

 原爆資料館で、被爆後の焼け跡に咲いたカンナの花の写真を見て心を打たれた知人の浄瑠璃作家の橘凛保が作詞し、野澤が曲をつけた。爆風に飛ばされたカンナがやけどを負った母子の体に落ち、命を受け継いで花を咲かせるという物語。家族の幸せが二度と奪われてはならないと野澤が声を絞り、激しく三味線を弾く。

 カンナの花言葉は堅実な未来。野澤は「希望を捨ててはいけないことを子どもたちに伝えたい」と話す。Tel090(1810)1343。

 【舞台】漫画「ゲン」再現

 広島市出身の漫画家中沢啓治の名作漫画をミュージカルにした「はだしのゲン」が八月十日、広島市中区の県民文化センターで上演される。

 劇団・木山事務所(東京)の公演で、一九九六年の初演以来、米国、韓国、ポーランドなど国内外の公演は四百回を超えた。シンプルな装置と衣装で六十二年前のヒロシマを再現。原爆で両親を失った少年ゲンが、まっすぐに強い心で生き抜く。

 木山潔プロデューサーは「この公演は演劇人としての使命。広島の舞台は特別な思いがこもり、厳粛なものを感じる」と力を込めた。

 開演は午後六時半。三千五百―二千五百円。木山事務所Tel03(5958)0855。

 被爆五十年に広島交響楽団が初演した團伊玖磨の交響曲など、ヒロシマの原点を意識したプログラムで臨むのは、八月六日、広島市中区の広島国際会議場で開く「平和の夕べ」コンサート。

 広響音楽監督、秋山和慶の指揮。團の交響曲第六番「HIROSHIMA」は、広島青年会議所が團に作曲を委嘱。被爆四十年の平和コンサートで初演した。第二楽章には「音戸の舟唄」を取り入れている。横笛の赤尾三千子、ソプラノの佐藤しのぶが協演する。

 開幕曲は、市名誉市民で広響元理事長の故原田東岷が作詞、藤掛廣幸作曲の「世界の命=広島の心」。ひろしまオペラルネッサンス合唱団が歌う。モーツァルトの交響曲第四十番も演奏する。

 五千―三千円。学生千五百円。Tel082(544)2900。(光尾章、串信考、片山明子)

【写真説明】野外イベント「広島の歌声」に出演する扇風機mania


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