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児童に被爆石の記憶 中区本川小寄贈の吉川さんら語る '07/7/20

 原爆の爆心直下で熱線を浴びた庭石を広島市中区の本川小に贈った被爆者の吉川生美さん(86)と映像会社社長田辺雅章さん(69)が十九日、同校を訪れ、被爆体験や石にまつわる記憶を児童に語った。

 庭石は縦横五十センチ、高さ約一メートルの御影石で、県産業奨励館(現中区の原爆ドーム)東隣だった田辺さん宅に置かれていた。疎開していて直接被爆を免れた田辺さんは、体育館に集まった三年生六十四人に、石のくぼみ部分に花を生けていたことやスズメが水飲み場にしていたことを説明。「原爆は両親と弟を奪い、実家で残ったのはこの石だけだった」と訴えた。

 庭石はその後、吉川さんの夫で「原爆一号」と呼ばれた清さん=一九八六年に七十四歳で死去=が中区江波東の自宅に持ち帰り保管していた。吉川さんは原爆で大やけどした体験に触れ、「みんなが手を取り合い世界が平和になるよう協力しましょう」と呼び掛けた。

 本川小は、原爆の熱線で一部赤茶色になった庭石を、ドームを望む東門前の花壇に設置した。児童らは周囲に草花の苗を植え、あらためて田辺さんの回想に耳を傾けた。青原響子さん(9)は「花の世話もし、みんなで石を大切にしたい」と話していた。(馬上稔子)


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