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被爆米兵2人の死亡診断書入手 広島の森さん '07/7/20

 太平洋戦争中に捕虜となり、広島で被爆死した米兵二人の死亡診断書の写しを歴史研究家の森重昭さん(70)=広島市西区=が入手した。森さんは「米国は被爆死した米兵について詳細を公表しておらず、実態を伝える重要な資料」と話している。

 ともに中国軍管区司令部(現中区基町)で被爆したとされているラルフ・ニール、ノーマン・ブリセットの両氏。日本語の手書きの診断書は二人とも「発病日時」を原爆投下当日の八月六日、死亡日を八月十九日と記載。病名欄にはそれぞれ「頭部及ビ顔面爆傷」「腹部爆傷」などと記し、被爆が死につながったことを裏付けている。

 死亡場所は「船舶練習部付属病院」とし、同じ「船舶司令部付医師」が末尾に署名している。別に二人の英文タイプの死亡診断書もあり、森さんは「後に英訳したのだろう」とみている。

 二人は別々の爆撃機に搭乗していて撃墜され、捕虜になった。

 診断書は、連合軍捕虜について調べている市民グループ「POW研究会」の福林徹会長(59)=京都府亀岡市=が国会図書館(東京都)から取り寄せた別の捕虜の資料に交じっていた。森さんは「戦争の愚かさを伝えるため被爆米兵の存在を伝え続けたい」とし、年内にも出版する著作で診断書の内容を紹介する。(田中美千子)

【写真説明】日本語で書かれた被爆米兵の死亡診断書(左)と英訳した文書のコピー


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