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海外の被爆地援助紹介 原爆資料館で25日から 渡米治療時の記録も '07/7/25

 原爆被害から復興する被爆地に海外から差し伸べられた援助について紹介する企画展が、広島市中区の原爆資料館東館で二十五日から始まる。一九五五年にケロイド治療のため渡米した女性二十五人の現地での生活ぶりを伝える記録など未公開資料もある。

 初公開されるのは、女性たちが滞在したニューヨークで五五年十月にあった会議録。ホームステイ先の米国人家族らの報告が、ほぼA4判のレターサイズ四枚に英文でタイプしてある。

 「ファッション雑誌を読み、勉強。裁縫グループに週二回参加している」「高校で英語やタイピング、米国史、『民主主義の問題』の授業を受けている」…。滞在先の家族の言葉から、到着して五カ月がたち、女性たちが現地社会に溶け込んでいる様子がうかがえる。

 二十五人のうちの一人で、後に再渡米した笹森恵子さん(75)=米カリフォルニア州=によると、二人一組で複数の家庭に滞在し、通院していた。笹森さんは「会議があったことは知らなかった。戦時中は米国人は怖いと思っていたが、親切だったことに感動した」と振り返る。

 受け入れ家族が女性たちにプレゼントを渡し、地域で歓迎会を開いたことも記してある。

 会議録は、渡米治療を支援した元広島流川教会(中区)の牧師谷本清氏=八六年に七十七歳で死去=の妻チサさん(91)が保管していた。谷本氏は女性たちと渡米し、会議にも出席したという。原爆資料館は「当事者しか持っていない大変貴重な資料」としている。

 企画展は十月三十一日まで。東館地下に約百五十点を展示する。無料。(馬上稔子)

【写真説明】企画展に備え、会議録をケースに並べる資料館職員


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