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絵や書公開で元児童感激 被爆前の袋町小「記念帳」 '07/7/26

 一九三八年に袋町尋常高等小学校(広島市中区、現袋町小)の児童たちが、原爆で倒壊した「奉安殿」を描いた絵などを集めた記念帳の内容の公開が二十五日、中国新聞社(中区)の読者広報センターで始まった。初日から、自分の描いた作品と再会できた人もおり、原爆で消えた学びやの思い出をかみしめた。

 公開したのは、約六百点の絵や書などの写真を収録したアルバム三冊と、記念帳に名がある約千三百人を学級別、五十音順にした名簿。

 五年生だった中区の和田誠次郎さん(80)は会場を訪れ、自分が描いた水彩画と級友五十二人の寄せ書きを見つけた。原爆投下時は北海道の海軍航空隊の部隊にいた。出撃命令が出ていたが、終戦。一カ月後に戻った広島はがれきの街と化していた。画用紙に描いた奉安殿には登下校時に必ず一礼した思い出がある。「死ぬはずだった自分と原爆で消えたはずの絵。まさか再び巡り会えるとは」と感極まっていた。

 この日は、和田さんを含め四人が閲覧に訪れ、家族や知人の作品や名前を探し求めた。

 内容の公開は、同校出身で記念帳を整理していた中電工会長の加藤義明さん(71)ら関係者有志が袋町小への寄贈を前に、中国新聞社と協力して実現した。八月十七日までの平日午前九時半―午後六時。中国新聞社報道部Tel082(236)2323。(中川雅晴)

【写真説明】69年前に自ら描いた絵を見つけ、当時を懐かしむ和田さん。記念帳は、アルバム(手前)で作品を確認できた場合に限って公開する


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