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亡き級友への思い新た 被爆前の袋町小「記念帳」展示 '07/7/28

 被爆七年前に袋町尋常高等小学校(広島市中区、現袋町小)の児童が描いた絵や書などをまとめた記念帳を公開中の中国新聞社(中区)に二十七日、当時の児童たちが集まった。記念帳を整理した同校出身の加藤義明中電工会長(71)らが呼び掛け、原爆で失った級友たちの記憶をよみがえらせた。

 加藤さんの連絡を機に集まったのは八人。当時五年だった河内清純さん(80)=西区=は自分の名を寄せ書きの中に見つけた。原爆投下の二カ月前、大竹海兵団に入隊。広島駅で袋町小の同級生が「バンザイ」と見送ってくれた。多くが最後の別れとなった。数年前から当時の同級生の消息を捜していた河内さんは「本当に懐かしい。この記念帳が引き合わせてくれた」と喜んでいた。

 「下手な字ですね」。岡村(旧姓皆崎)節子さん(80)=西区=は五年生の時の書と再会した。約六十人いたクラスメートの顔が今も浮かぶ。「原爆で亡くなった友人がここにいるよと語りかけ、しっかり生きてね、と訴えているみたい」としみじみと話していた。

 袋町小への寄贈を前に公開が始まった二十五日以降、記念帳に作品や寄せ書きのある計二十三人が自分の名を確認した。加藤さんは「感無量。整理したかいがあった。お盆に帰省する人にも見てほしい」と喜んでいた。

 公開は八月十七日までの平日だけ。中国新聞社報道部Tel082(236)2323。(山成耕太、中川雅晴、新本恭子)

【写真説明】加藤さん(手前左端)の呼び掛けで集まり、記念帳を囲むかつての児童たち


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