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核廃絶「人類の意志」 8・6平和宣言 概要が判明 '07/7/31

 広島市の秋葉忠利市長は原爆の日の八月六日の平和記念式典で読み上げる平和宣言で、「人類の意志」としての核兵器廃絶を国際社会に訴えていく決意を示す。世界情勢は廃絶とは程遠いものの、市民の力が事態を切り開くとし、希望と期待感を力強く表明する。

 核保有国は新型核兵器開発をうかがい、核拡散の懸念も依然根強い。原爆投下を「しょうがない」とするなど、核兵器の威力を肯定する発言や見解も内外で相次ぐ。

 平和宣言では、これら個々の動きを名指しで批判したりはせず、全体として現代の危機的状況を憂う。さらに、その要因として、被爆の実情や被爆者が発するメッセージに、世界が背を向けてきたとの認識も示す。

 その上で、国際政治を動かそうとする市民の声は世界各地で勢いを増し、行動も力強さを増しているとの希望を見いだす。「二〇二〇年の核兵器廃絶」「都市を攻撃目標にするな」などを提唱して賛同を広げてきた平和市長会議や世界の各都市の取り組みを紹介。問題解決の源泉は市民の力、人類の意志であることをうたいあげる。

 平和宣言は原爆の日に被爆地の市長が世界へ発するメッセージ。秋葉市長は被爆者の声を代弁する形で、日本政府に対して被爆者援護の充実を求める。悲劇を繰り返さないために、被爆者の哲学を学ぶよう呼び掛ける。(林仁志)


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