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原爆症訴訟で国6連敗 広島の原告ら歓迎 '07/7/31

 広島や長崎で被爆し、がんなどを発症した熊本県の男女二十一人(うち六人死亡)について、原爆症と認定しないのは違法として、本人や遺族が国に却下処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、熊本地裁(石井浩裁判長)は三十日、「被爆状況や被爆後の行動などを総合考慮すべきだ」として、十九人を原爆症と認定、処分を取り消した。一人当たり三百万円の慰謝料請求は棄却した。

 原告二十一人のうち十九人を原爆症と認定した熊本地裁判決について、広島で同様に提訴している原告や支援者は「国の認定審査の在り方をただす司法の流れは定着した」と歓迎し、問題の早期解決を願った。

 広島高裁で係争中の故萬膳ハル子さんのめいで裁判を引き継ぐ池田ハツ子さん(64)=広島市東区=と、広島地裁で係争中の玉本晴英さん(77)=安佐南区=が中区の広島弁護士会館で記者会見し、「勇気づけられた。最後の勝利を得るまで頑張りたい」などと話した。

 同席した日本被団協の坪井直代表委員(82)は「余命短い被爆者は不安を抱き続けている。一日も早い解決を望む」と訴えた。また弁護団は、さらに十数人が広島地裁への追加提訴を検討していることを明らかにした。

 一方、東京都内では午前十時、首都圏の被爆者と弁護団ら四十人が厚労省前に集合。「六度 原爆症認定行政を断罪」などと書かれた旗を掲げ、「司法判断を受け入れよ」「控訴するな」と声を張り上げた。

 また、熊本訴訟の原告中山高光さん(78)さんらが地裁判決後に上京し、厚労省で健康局総務課の担当者と面会。控訴断念と、原爆症認定制度の抜本的見直しを求める要望書を手渡した。中山さんは「私たちは力の限り、死ぬまで闘う」と切々と訴えた。(森田裕美、金崎由美)


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