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被爆者団体、怒りと失望 '07/8/2

 広島市の平和記念式典(六日)終了後に開かれる「被爆者代表から要望を聞く会」を安倍晋三首相が欠席することになった一日、広島の被爆者七団体の代表たちは怒りと失望の声を上げた。

 広島県被団協の坪井直理事長は中区の広島平和会館で会見。首相が改憲に強い意欲を持っている点に触れ、「戦争放棄の条項や非核三原則は守ってくれるのか、しっかりとただしたかった」と怒りをにじませた。

 もう一つの県被団協の金子一士理事長は「久間発言を重大視せず参院選で大敗し、合わす顔がないのだろうか。被爆国の首相として被爆者からじかに話を聞き、支えるのが当然ではないか」と語気を強めた。

 県朝鮮人被爆者協議会の李実根会長は「首相として初めて出席する年くらいは直接会ってほしかった。北朝鮮の被爆者への理解も求めたかった」と残念がった。

 七団体は、「聞く会」で原爆投下を「しょうがない」とした久間章生前防衛相の発言への謝罪や原爆症認定制度見直しなどを首相に要望することにしていた。「聞く会」は広島の被爆者が首相に要望を直接伝える唯一の機会。二〇〇一年に当時の小泉純一郎首相が出席したのを最後にその後は毎年、厚労相が応じている。今年も柳沢伯夫厚労相が出席する方向で調整中だ。広島被爆者団体連絡会議の末宗明登事務局長は「被爆者援護などを直接担当する厚労相にしっかりと訴える」と語った。

 広島市の秋葉忠利市長も「再三にわたる強い要望にもかかわらず、人類史的な出来事の生き証人たる被爆者と直接言葉を交わすこともなく、広島を去られることは誠に遺憾」とのコメントを出した。(森田裕美、田中美千子)


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