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色紙にドーム描いて2000枚 被爆者の原さん '07/8/2

 核兵器廃絶を訴えるため、原爆ドームの水彩画を色紙に描き続ける被爆者の原広司さん(75)=広島市安芸区=が一日、二千枚目を完成させた。最初の一枚から二十三年。節目の一枚は、「一番威厳がある」というドームを南側から見上げる構図を選んだ。

 前日、ボールペンでしたスケッチに、いつものように元安川の水で溶いた絵の具で一時間あまりかけて描いた。「継続は力なり」との一文を添えて仕上げ、原さんは「ようやくたどりついた」とほっとした表情を浮かべた。

 ドームを描き始めたのは一九八四年。被爆体験を語る会を設立し、絵でも平和の大切さを訴えようと考えたのがきっかけだった。次第に「無言で反核を訴える姿を次世代に伝える責務」を自覚するようになったという。

 構図や季節が変わるごとにドームの表情は変化し、飽きることはない。「優しい色を忠実に出すには、まだ未熟」と自らに課すハードルは高い。

 三日から五日まで、二千枚達成を記念し、ドーム前で、描きためた百枚を展示する。「次の目標は三千枚。八十歳までにクリアしたい」と意気込み、六日早朝から二千一枚目に向かう。(見田崇志)

【写真説明】完成した2000枚目の絵を持つ原さん。「継続は力なり」と添えた


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