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東アジアの非核化探る 広島平和研が専門家招きシンポ '07/8/6

 広島市立大広島平和研究所は五日、中区の広島国際会議場で、「逆風の中、再び核軍縮を進めよう―中央アジアの経験を東アジアへ」と題したシンポジウムを開いた。日本、韓国、中国、モンゴルの四カ国の軍縮問題専門家ら六人が、東アジア地域における非核化の可能性などをめぐって意見交換。市民ら約二百人が聞き入った。

 国連アジア太平洋平和軍縮センターの石栗勉所長は基調講演で、中央アジア五カ国が昨年九月に締結した非核兵器地帯条約を取り上げた。十年に及んだ交渉をまとめた経験を基に、核兵器廃絶に向けた思いの共有や強いリーダーシップなど非核化に必要な条件を提示した。

 パネル討論では東アジアの軍縮推進の道を探った。韓国ソウル大の河英善教授は北朝鮮の核問題が障壁との見方を示し、「北朝鮮の軍隊主導の政治を変えるための働き掛けが必要」と強調。中国現代国際関係研究院日本研究所の王珊副所長は「経済協力、自然災害への対応など、多角的な視点で東アジアの安全保障メカニズムを構築することが大切」と提言した。

 モンゴルのジャルガルサイハン・エンフサイハン前国連大使は、一九九一年に一国非核兵器地帯を宣言した自国の取り組みを紹介。広島平和研究所の浅井基文所長は「北朝鮮の核開発を誘発した」として日米の軍事政策の転換を主張した。広島出身の平和活動家、荊尾遥さん(25)は若い世代の意識変革を訴えた。(田中美千子)

【写真説明】東アジアでの核軍縮の推進について意見交換するパネリスト


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