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海越え鎮魂の灯籠流し チェルノ被害のリトアニアで9日 '07/8/6

 日本に留学経験があり母国リトアニアで核兵器の恐ろしさを伝えているアウグステ・ユラシカイテさん(26)が、長崎原爆の日の九日夜(現地時間)、リトアニア中部の都市カウナスのネムナス川で灯籠(とうろう)流しを計画している。同国はチェルノブイリ原発事故で大きな被害を受けており「広島と長崎の原爆と、原発事故の犠牲者を悼み、放射線被害の恐ろしさを伝えたい」と準備を進めている。

 ユラシカイテさんは二〇〇三年に来日し、関西外語大(大阪府枚方市)で日本語を学んだ。帰国後の昨年十月には広島市中区の平和記念公園を訪れ、リトアニアの人たちが作った折り鶴を「原爆の子の像」にささげている。

 日本の知人から、慰霊のために灯籠を流す習慣について話を聞き、二カ月前から準備。リトアニアなどバルト三国の被曝(ひばく)者支援に取り組む市民団体「エストニア・チェルノブイリ・ヒバクシャ基金」(東京都杉並区)から灯籠十二個を譲り受け、友人や家族ら約三十人と取り組んでいる。

 九日夜には、ユラシカイテさんが集まった人たちに広島の原爆被害や慰霊の営みなどについて話す。約二百人が参加する予定という。

 「ヒバクシャ基金」によると、リトアニアでは約六千人の労働者がチェルノブイリ原発事故の汚染除去に従事し、被曝したという。同基金の千葉智恵子さん(38)は「核被害を繰り返さないという被爆地の思いが世界に広がる」と期待している。(馬上稔子)

【写真説明】リトアニアを訪れた「エストニア・チェルノブイリ・ヒバクシャ基金」のメンバーから灯籠を受け取るユラシカイテさん(左)(同基金の千葉さん提供)


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