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原爆症認定審査待ち2500件 広島市分 '08/7/23

 原爆症認定基準の緩和を受け、全国で最も被爆者数が多い広島市に申請が集中し、国の審査待ちが同市分だけで約二千五百件に上ることが二十二日分かった。全国の集団訴訟で相次いだ原告側の勝訴判決も背景にある。被爆者の高齢化が進む中、迅速な審査が求められている。

 広島市は全国の被爆者総数の31%を占める。市によると、昨年度は三十件前後だった月別の認定申請は、一月から月に百件を超え始め、国が認定条件を緩和する新基準を導入した四月は、六百十八件と急増した。

 認定増への期待を反映したとみられ、六月までの三カ月で計千六百五十一件。既に二〇〇七年度(七百三十五件)の二倍を超えた。

 ただ、国の審査は追いつかず、新基準前からの積み残しを含めると、広島市を窓口に申請した分の審査待ちは二千五百二十三件。市原爆被害対策部の中村明己認定担当課長は「例年八月は申請が増える傾向があり、当面はこの状態が続くだろう」とみる。市は審査のスピードアップを国に要望している。

 原爆症認定の基準見直しは、日本被団協の提唱で〇三年に始まった集団訴訟がきっかけ。国の敗訴が続く中で昨年八月、安倍晋三首相(当時)が見直しを指示した。新基準となった四月以降の全国分の審査件数は、二十二日現在で五百八十四件。うち五百十三件を原爆症と認めた。(森田裕美)


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