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願い届け 広島県内各地で平和へ誓い '08/8/7

 原爆投下から63年を迎えた6日、平和記念公園(広島市中区)だけでなく、県内各地で慰霊式などが営まれた。参列者たちは原爆犠牲者を悼み、平和への誓いを新たにした。

 ▽収容後逝った88人弔う 庄原

 原爆投下直後に臨時病棟が置かれた庄原市山内町、旧山内西国民学校(現山内小)近くにある原爆犠牲者慰霊碑前で、慰霊祭があった。遺族や住民たち約百二十人が、収容後に亡くなった八十八人の冥福を祈った。

 主催する山内地区社会福祉協議会の菟(う)原(ばら)元樹会長(73)が「心を新たに核兵器廃絶を訴えていきたい」と慰霊碑に誓い、参列者が焼香した。慰霊祭は一九四六年から、犠牲者を火葬した地に建てた慰霊碑前で開いている。

 父親が被爆から十一日後に同国民学校で亡くなった正木浩子さん(70)=広島市西区=は「死亡するまで地域住民が献身的に世話をしてくださったと聞いています。元気な間は毎年参加します」と感謝していた。(梨本晶夫)

 ▽二世へ反核継承期待 大竹

 大竹市原爆被爆者協議会(岩部守邦会長)は、総合市民会館の原爆慰霊碑「叫魂(きょうこん)」前で原爆死没者追悼・平和祈念式典を開き、約四百七十人が参列した。

 この一年間に亡くなった四十六人を加えた千八百九十八人の原爆死没者名簿を納め、参列者が黙とうや献花をした。岩部会長は協議会の被爆二世部会が四月に設立されたことを報告し、「市の反核平和の灯は永遠に燃え続ける」と訴えた。(川崎崇史)

 ▽吉永さんから励ましの便り 三良坂

 三次市三良坂町の三良坂平和公園では、「被爆六十三年 すべての原爆・戦争犠牲者を追悼する集い」が営まれた。被爆者や中学生ら約二百二十人が冥福を祈った。

 主催した三良坂平和を願う会の湯免龍夫会長(72)が「小さな町から、どこよりも大きな声で核廃絶を訴えていかなければいけない」とあいさつ。原爆詩人の故栗原貞子さんにちなんだ詩碑「わたすの母子像」に千羽鶴を手向け、広島市の平和記念式典に合わせて黙とうした。

 「ほんとうの平和がこの地球上に訪れるまで、力を合わせ頑張りましょう」との吉永小百合さんのメッセージも読み上げられた。(田沼規充)

 ▽花や水ささげ 140人が黙とう 福山

 福山市原爆被害者の会(七百三十七人)は、福山市霞町の中央公園内で移転整備が完了した市原爆死没者慰霊碑前で慰霊式を開いた。二十回目。被爆者や被爆二世、遺族ら約百四十人が参列した。

 午前八時十五分に全員で黙とうし、花や水、千羽鶴を慰霊碑にささげた。今年は新たに四十三人が加わり、八百五十三人の名前を記した死没者名簿が慰霊碑に納められた。

 敷石などを新たに整備した慰霊碑は、福山空襲被害者を悼む市戦災死没者慰霊碑(母子三人像)と並んで配置した。片岡孝二会長(82)は「二つの像が並ぶこの地を、平和を発信する聖地としたい」と追悼の言葉を述べた。(伊藤敬子)

 ▽平和の大切さ 中学生が訴え 尾道

 尾道地区原爆被害者の会(岡田進会長)は、約二百人が参列して尾道市東尾道の慰霊碑前で慰霊祭を営んだ。

 折り鶴約一万羽が手向けられ、高西中三年の新田倫子さん(14)が「悲しい過去を繰り返さないために戦争の事実を知り、平和のありがたみをもっと考えたい」と平和アピールを読み上げた。

 御調町原爆被害者協議会(森山儀助会長)も町内で追悼法要を開催。式後、約三十人が核兵器廃絶を願って座り込みをした。(田儀慶樹)

【写真説明】<左>原爆犠牲者慰霊碑に焼香する参列者(庄原)<右>大竹市の原爆死没者追悼・平和祈念式典で献花する参列者


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