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若者、ヒロシマを体感 キャンプで語らう '08/8/7

 若者は何を求めてヒロシマを目指すのか―。五日夜から六日朝、平和記念式典の参加者のために広島市立大グラウンド(安佐南区)に設けられた無料の「ピース・キャンプ」で、さまざまな国の若者に密着した。

 「行っても悲しみしか得られない」。米国籍の女子大学生アイ・ニューマンさん(22)は、日本人の母に広島に来ることを反対されたと打ち明けた。被爆直後の写真から、自身も広島には暗いイメージを持っていた。

 しかし、原爆を落とした側、落とされた側の双方に通じる自分にとって「被爆地を見ることは義務」と感じるようになった。「美しい街並みに、復興を担った市民の力強さを感じる」。広島で見たことは帰国後、友人に伝えるという。

 大阪市のフリーター吉澤武彦さん(29)は一月の広島旅行がきっかけ。初めて入った原爆資料館で、焼け焦げた子どもの遺体の写真を見て受けた衝撃。「平和は自分で守るものだと気付いた」。来年以降も式典には参加し続けると決意している。

 この日、キャンプ場の利用者は国内三十三人、米国、カナダ、オランダ、フィリピン、オーストリア、ドイツの海外十六人で計四十九人。動機の異なる若者たちが数人ずつ車座になったりして語り合った。空が明るくなり始めても、会話は尽きなかった。(岩成俊策)

【写真説明】無料キャンプ場で車座になって語り合う若者たち(午前0時)


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