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ヒロシマ賞に中国人作家の蔡國強さん '07/7/13

 広島市は十二日、現代美術の分野で平和に貢献した作家に贈るヒロシマ賞の第七回受賞者に、中国人作家の蔡國強氏を選んだと発表した。

 蔡氏は一九五七年、福建省に生まれ、現在は米ニューヨークを拠点に活動。火薬を用いた作品で知られる。九四年に広島市の中央公園で「地球にもブラックホールがある」を企画し、九百メートルの導火線を風船で空中に浮かべて点火。原爆被害から再生した広島への祝福と鎮魂の願いを表現した。

 九六年にはネバダ州の核実験場など全米各地で「きのこ雲の世紀」と題した一連の創作を手掛けた。ヒロシマ賞組織委員会(委員長・高階秀爾大原美術館長)などは「ヒロシマの歴史的意味を自らの方法論で問う創作活動は、ヒロシマの心を世界に伝える賞の趣旨に合致する」と評価した。

 蔡氏は九九年、ベネチア・ビエンナーレで国際金獅子賞を受けた。二〇〇八年の北京五輪で美術ディレクターを務める。市は〇八年度に授賞式と市現代美術館(南区)での受賞記念展を開く。

 ヒロシマ賞は一九八九年に創設。三年に一度授与され、これまでの六回で市出身のデザイナー三宅一生氏ら計七人を選んでいる。(森田裕美)

【写真説明】蔡氏が火を使って表現した野外プロジェクト「地球にもブラックホールがある」(1994年10月1日、広島市中区の中央公園)


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