中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索
原爆投下「有罪」判決の全文発表 国際民衆法廷 '07/7/17

 広島、長崎への原爆投下の違法性を市民レベルで問う国際民衆法廷の「判決公判」が十六日、広島市中区の原爆資料館東館であった。米国の原爆開発や投下にかかわった大統領や軍人ら計十五人を「有罪」とした判決文の全文が発表され、被爆者に手渡された。

 「有罪」判決要旨は昨年七月、被爆者の証言や米公文書などの証拠に基づいて下されている。この日は、約二百人の傍聴人を前に、米ラドガーズ大のレノックス・ハインズ教授やコスタリカ国際法律大カルロス・バルガス教授ら国際法の専門家でつくる「判事団」が、一年がかりで書き上げた全文を読み上げた。

 判決に法的拘束力はないが、判事団は、国際司法裁判所が一九九六年に出した勧告的意見などを根拠に「戦争犯罪」「人道に対する罪」などで有罪とした。米政府に対し、違法性を認めて被爆者への謝罪と賠償などをするよう勧告した。

 被爆者を代表し、判決文を受け取った坪井直日本被団協代表委員は「私たちの苦しみや悩みを明らかにして犯罪性を明快に打ち出してもらい、喜びに堪えない。平和な世界につながる判決」と歓迎した。

 続いてあった記念シンポジウムには広島、長崎、韓国の被爆者三人も発言。「無念が少しは癒やされる。世界中に判決が定着するよう祈る」「原爆投下容認論がはびこる社会にこのような判決が下された意義は計り知れない」などと思いを語った。法律家たちからは、国際機関への働きかけなど判決文の普及や活用を求める意見が相次いだ。(森田裕美)


MenuTopBackNextLast