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嘉屋日米交流基金 平和の実り 8・6学んだ奨学生14人 '07/7/23

 米国ハワイ州から被爆地・広島へ奨学生を毎年招いてきた嘉屋日米交流基金が今年、十五年間にわたった活動の幕を閉じる。創設者で医師の嘉屋文子さんが二〇〇四年六月に亡くなり、運営に携わってきたメンバーも高齢化したため。二十二日には広島市中区の県民文化センターで、歴代奨学生のうち三人を招き、嘉屋さんをしのぶ記念報告会を開き活動を総括した。

 ホームステイの受け入れなどで活動を支えてきた市民や、顧問の竹下虎之助・前広島県知事、同基金広島委員長の畑博行・近畿大学長ら約百三十人が参加。奨学生たちが広島を訪れた際の思い出や成果などを振り返った。

 一九九八年に招かれ、現在は米国の大学医学部博士課程で学ぶギャリン・ツルさん(30)は、原爆と被爆二世の心理的影響について報告。「来日が研究着手のきっかけになった。基金の理念を継承していく」と力を込めた。

 「十五年間続けたい」とした嘉屋さんの遺志を受け、同基金広島委員会などが活動を継続。嘉屋さんの長男基一さん(67)=南区=は「多くの人の応援があり、十五年続けられた。基金は新たに有効活用できる方法を考えたい」と話している。

 嘉屋さんは一九一三年ハワイ州生まれ。移り住んだ広島での被爆体験を踏まえて九二年、私財五万ドルを投じて基金を創設した。翌年から年一人で計十四人の奨学生を、八月六日を中心に二週間程度受け入れてきた。(川崎崇史)

【写真説明】奨学生として被爆地・広島に招かれた際の思い出などを語るツルさん


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