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大竹の8・6宣言中止 市教委関係者が「国策・子どもに配慮を」 '07/7/24

 八月六日に大竹市内である原爆死没者追悼・平和祈念式典で、過去二十四年間にわたり続いている「平和宣言」が今年から中止になる。これまで自衛隊のイラク派遣を批判するなどしてきた宣言に対し、教育関係者から「国策と子どもへの配慮」を求められ、式典を主催する市原爆被爆者協議会(千二十五人)が中止を決めた。

 平和宣言は一九八三年に始めた式典のひとこまで、協議会長が文案を練り、宣言する。三年前は自衛隊のイラク派遣を「遺憾」と訴えた。昨年は米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転に伴い、原子力空母が瀬戸内海を航行する懸念があるとして「美しい瀬戸内海が核で脅かされようとしている」と危機感を示した。

 しかし、式典に児童や生徒も参加している状況を踏まえ、市教委関係者から二年ほど前、「国の施策を批判すると学校関係者が参加しにくい」との指摘があったという。

 これを受け協議会の岩部守邦会長(85)が今年、式典が二十五回目の節目となるのを機に宣言の中止を決めた。岩部会長は「あれこれ言われてまでやりたくない。中止は独断で決め、会員から異論はない」と話している。

 今年の式典は八月六日午前八時から、同市立戸の総合市民会館にある原爆慰霊碑「叫魂(きょうこん)」前で開く。平和宣言の代わりに小中高校生が「平和の誓い」を読み上げる。

 市の西尾裕次教育長は「子どもの前で政治的な発言をすることは個人的には賛成しない。しかし平和宣言の内容に市教委としてとやかくは言えず、被爆者の思いを伝えるのは大事なこと。式典には今後もできるだけ協力したい」と話している。(西均)


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