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「世界的講座」へ評価上々 広島市立大の「ヒロシマと平和」 米英2校が単位認定 '07/7/28

 広島市立大(安佐南区)が八月六日をはさんで開く短期集中講座「ヒロシマと平和」の海外受講生が年々増えている。五年目の今年は十一カ国から過去最多の二十九人が来日。米国と英国では受講した学生に単位を認める大学もある。担当する教授陣は「世界的な平和講座にしたい」と意気込んでいる。

 米英のほか、韓国、中国、スウェーデン、ポーランドから来日した二十九人は、二十七日から本格化した講座を市立大生二十四人とともに学んでいる。この日は国際学部の井上泰浩教授=マスメディア論=が、国際関係におけるメディアの役割について、ニュース映像や写真、記事を交えて説明した。

 韓国出身で米ハワイ大三年の黄圭鈴さん(21)は「平和へのアプローチ方法は、どんな文化を持っているかで異なると思う。そこをしっかり学びたい」と意欲を示した。

 講座は八月七日まで続け、すべて英語でやりとりする。各国の原爆観や異文化の相互理解、持続可能な開発など、平和を広い視野でとらえてカリキュラムを組んでいる。ハワイ大や国連訓練調査研究所(UNITAR)の専門家も講師を務める。被爆者との対話、六日の平和記念式典への参列もある。

 集中講座は、学術協定を結んでいるハワイ大マノア校からの打診がきっかけ。被爆地の大学として海外に何を発信すべきかを検討し、二〇〇三年に「ヒロシマと平和」を開講した。マノア校は〇五年、受講を単位認定する正式科目にした。

 〇五年には、それまで特段の交流がなかった英ロンドンのメトロポリタン大紛争解決・平和学科が教授と学生を派遣。講座内容を「ワールドスタンダード(国際標準)」と高く評価し、同学科も正式科目に採用した。〇六年からは学生を選抜して送りこんでいる。

 井上教授は「アカデミックな講義と、被爆地ならではの『情』の部分の相乗効果で、平和研究を深めることができる。世界中の大学に平和講座として提供したい」と話している。(岡田浩平)

【写真説明】井上教授(右端)の講義を熱心に聞く欧米やアジア、日本の学生たち


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