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多様な「原爆観」討論 広島市立大の「ヒロシマと平和」講座 12ヵ国から若者参加 '07/8/1

 国内外の学生が被爆地で核問題や平和構築の方策を学ぶ広島市立大(安佐南区)の短期集中講座「ヒロシマと平和2007」は31日、米国などに根強い原爆投下の正当化論をテーマに取り上げ、12カ国の若者が活発な意見を交わした。

 米国や韓国、スウェーデン、ドイツなど海外の二十九人と市立大の二十四人が、北米、アジア、ヨーロッパ各一、日本二の計五グループに分かれ、それぞれの国や地域の「原爆観」を確認。その上で、二度と原爆使用しないための有効な手法はないかを議論し、集約した意見を発表した。

 北米グループと、中国や韓国など五カ国の学生が集まったアジアグループは「原爆は戦争を早期終結させた」との考えが根強い地域という点で一致。日本の二グループは「絶対悪」とし、ポーランドや英国などのヨーロッパグループは多様な意見があると説明した。

 ただ、学生自身の意見は自国の原爆観と重ならず、正当化論を受け入れる声は出なかった。「歴史を繰り返さないため、被爆者の話を子どもたちに聞かせる機会を設けたらいい」(米国)「中国や韓国人の原爆犠牲者もいると知ってもらえば、アジアでも正当化論者の考えを変えることができる」(アジア)などの提言が続いた。市立大の学生からは「日本は侵略の歴史を歩んだ事実も忘れてはならない」との意見があった。

 北京の大学三年陸暁茵さん(21)は講義終了後、「かつて自分の中にも原爆投下を正当とする考えがあった」と明かし、「各国の若者と意見交換し、被爆者の話も聞き、原爆の恐ろしさに理解が深まった。多様な意見に耳を傾けることが大切だと思う」と話した。(田中美千子)

【写真説明】原爆投下をどう考えるか意見を交わす各国の学生たち


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