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幻の校歌友にささぐ 旧制広島市中 被爆後に楽譜散逸 '07/8/1

 被爆による混乱で楽譜が散逸し、二年前に同窓生の記憶で「再生」された旧制広島市立中学校(現基町高)の校歌が、関係者の記憶をさらに集めて修正された。これで「確定版」となり、六日に中区小網町の慰霊碑前である慰霊祭で楽譜が参列者に配られる。

 一九四二年に開校した旧制市中の校歌は、終戦までの三年間だけ歌われたが、戦後は覚えている人も少なく「幻」の歌となった。しかし、歌詞を掲載した被爆二年後の学校新聞が二〇〇五年七月に見つかったのを機に、同窓生の石田晟さん(75)=廿日市市=が記憶にあるメロディーを基に歌を吹き込み、昨年八月六日の慰霊祭で基町高合唱部の生徒たちが披露した。

 その後、石田さんの先輩が、わずかに旋律や音程が違うのではと指摘。石田さんも「私の記憶も完全ではない」と快く受け入れ、微調整を施した。

 旧制市中の校舎は現在の西区中広町にあり、建物疎開作業中の生徒らを中心に三百人以上が被爆死した。確定版の校歌を採譜した基町高の小田孝則教頭は「これで確定。慰霊祭で合唱部や器楽部の生徒たちと披露したい」と話す。(森田裕美)

【写真説明】微修正の結果、「確定版」となった旧制広島市立中学校歌の楽譜(手前)


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