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首相一転 5日夕に被爆者と面会 「聞く会」欠席に替え '07/8/3

 安倍晋三首相は二日、広島市中区の平和記念公園である平和記念式典の前日の五日夕に被爆者団体の代表と同市で面会することを明らかにした。六日の式典後に開かれる「被爆者代表から要望を聞く会」は欠席する代わりに面会時間を設定した。首相が広島で被爆者と会うのは、二〇〇一年の小泉純一郎首相(当時)を最後に途絶えており、六年ぶり。

 安倍首相は官邸で記者団に対し、「五日にお目にかかる予定だ。(九日の)長崎においても日程を調整している」と語った。

 政府は一日、いったんは「スケジュール上の都合」を理由に、安倍首相が式典には参列するものの「聞く会」は欠席すると発表。被爆者団体が反発していた。その後、自民党の有志議員でつくる「原爆症認定を早期に実現するための議員懇談会」(河村建夫会長)が「式典後でなくても、時間が取れるならぜひ被爆者と会ってほしい」と官邸サイドに働き掛け、一転して実現した。

 柳沢伯夫厚労相が同席し、二つの広島県被団協など七団体の代表者と面会する。原爆症認定制度の見直し、在外被爆者援護の充実などの要望を聞く。出席者はほかに、秋葉忠利市長、外口崇厚生労働省健康局長ら。

 同議員懇世話人代表の寺田稔衆院議員(広島5区)は「首相が被爆者から直接要望を聞くこと自体、とても意義がある。短時間で形式的に済ますのではなく、なるべくじっくりと話し合ってほしい」と評価する。

 式典後の「聞く会」は一九七六年からほぼ毎年開かれており、被爆者七団体と首相が直接対話をする貴重な機会となってきた。小泉前首相は、就任した二〇〇一年には式典と両方に参加したが、以降は「聞く会」を欠席した。安倍首相にとって、今回が初めての式典出席となる。(金崎由美)


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