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「被爆の原点」今こそ 広島平和宣言骨子 '07/8/3

 広島市の秋葉忠利市長は二日、市役所で会見し、六日の平和記念式典で読み上げる「平和宣言」骨子を発表した。ヒロシマの訴えが十分に伝わっているとは言い難い現状を踏まえ、被爆の原点に立ち戻る必要性を強調。事態打開に向けた世界の市民や都市の力強い取り組みに触れ、「人類の意志」として核兵器廃絶を呼び掛ける決意を表明する。

 原爆投下を「しょうがない」とした久間章生前防衛相発言や、米国での根強い正当化論など被爆の悲惨さが十分に理解されていない現実を憂慮。宣言では「少数の指導者たちが被爆の実情に背を向けた」結果、人類は今なお滅亡の危機にひんしていると語りかける。

 そうした中で、核兵器廃絶を目指す市民や世界の市長の取り組みは活発化していると指摘。「市民の声が国際政治を動かそうとしている」と前途に希望を見いだし、人類の意志として世界に核兵器廃絶を訴えると誓う。具体的には、韓国で十月に開かれる「都市・自治体連合」総会の場で発言していくとする。

 被爆者の功績にも言及。体験に基づくメッセージが多くの人の心を動かし、三回目の核兵器使用を防いだ点を忘れてはならないとする。

 政府に平和憲法の順守や米国の「誤った政策」に「ノー」と意思表示するよう迫り、平均年齢が七十四歳を超えた被爆者の援護策充実を求める。今年はすべての原爆犠牲者に加え、四月に亡くなった伊藤一長前長崎市長に哀悼の意を表す。

 秋葉市長は「原点に戻って被爆者の体験を学び、メッセージを受け止めることが必要」と説明した。(森田裕美)

【写真説明】平和宣言の骨子を発表する秋葉市長


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