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被爆二世に広がる不安 北米健診の結果を広島県医師会が報告 '07/8/3

 六―七月に北米在住の被爆者の健康診断をした広島県医師会(碓井静照会長)が二日、県庁で記者会見し、健診結果を報告した。受診者は前回(二〇〇五年)より九人減の四百二十六人で、新たな受診者も三人減の二十三人だった。医師会は「高齢化で被爆者は減っているが、被爆二世の不安はむしろ広がっている」と総括している。

 医師団は、ロサンゼルス、ホノルル、サンフランシスコ、シアトルの各市で診断した。受診者の平均年齢は七十五歳。高齢者のがんが増える傾向にあり、カロリーの高い食文化などの影響で高血圧や糖尿病を訴える患者も多かったという。

 受診者のうち、被爆二世は前回より二人増の七十人。県医師会の有田健一、松村誠の両常任理事は「個人保険が普及している米国では、予防治療が主体。被爆者たちは、日本の新しい医療情報を求めている」などと説明した。

 現地では広島、長崎両県・市の職員も相談会を開き、百四人から計百二十一件の相談を受けた。内容別では、〇五年から在外公館を通じて可能となった健康管理手当の申請三十七件▽被爆者健康手帳の申請二十七件▽渡日治療二十一件―などが多かった。

 医師会が一九七七年から二年に一回のペースで続けてきた北米健診は三十年の節目を迎えた。碓井会長は「言葉や文化の壁がある在外被爆者のために、今後も広島弁で心の不安を取り除きたい」と話していた。(下久保聖司)

【写真説明】北米被爆者健診の結果を説明する碓井会長(中)。左は有田常任理事、右は松村常任理事


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