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掘り起こしや継承に焦点 「原爆の日」地元各局の番組 '07/8/5

 広島の放送局は五、六日、平和へのメッセージをこめた番組を集中的に放送する。原爆症認定をめぐる各地の集団訴訟の動きや、被爆作家大田洋子の苦悩、命の尊さをテーマに歌うミュージシャンなど事実の掘り起こしと継承にスポットを当てている。

 RCCは、六日午前九時五十五分から「消えない恐怖〜原爆症認定訴訟の闘い」。全国の地裁に起こされた原爆症認定集団訴訟で、国は敗訴を重ねているが、審査基準は適正との主張は変えない。「原爆放射線の闇」に苦しむ原告らに迫る。

 広島テレビは、六日午前八時から式典中継に続いて「62年目の伝言」。アメリカ人の多くが「原爆投下は戦争終結に必要だった」と考えるのはなぜなのか。米国の教育現場や教科書にその考えを支える側面があることをリポートする。

 TSSは六日午後四時から「ANSWER いかにヒロシマを語り継ぐのか」。被爆者の北川建次さん(72)と、祖母が被爆者の二十三歳の女性シンガーMetisを通して「繰り返してはいけない」と訴える。

 ホームは六日午後四時五十分のJステーションで、十代を中心にした若者の取り組みを取り上げる。スタジオと原爆ドーム対岸からの中継を交え、高校生たちが平和への思いを語る。

 NHKは、五日午後十時からETV特集「“屍の街”からの叫び〜被爆作家大田洋子と戦後」。連合国軍総司令部(GHQ)の検閲や自らの死への恐怖など、大田の心の葛藤(かっとう)と原爆を書かずにはいられなかった思いを関係者の証言で見詰める。

 六日午後七時半は「被爆者 空白の十年」。原爆投下から十年、混乱と窮乏の中で被爆者を苦しめた差別と偏見の実態を証言で明らかにする。

 ラジオはNHK第一が六日午後八時五分から「ヒロシマの復興の歩みを伝えたい〜カンボジア・ひろしまハウス」。被爆資料展を開くとともに、広島の復興ぶりも伝える同ハウスの意義を伝える。

 RCCは十二日午後四時から「映画監督新藤兼人95歳〜創作の原点はヒロシマ」。新藤監督のインタビューを中心に、衰えぬ映画制作の思いの底を引き出している。(串信考)

【写真説明】<上>「消えない恐怖〜原爆症認定訴訟の闘い」の一場面<下>「ANSWER いかにヒロシマを語り継ぐのか」で、被爆体験を語る北川建次さん


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