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危機感強める市民 NPT成功へ世論喚起 '07/8/7

 二つの原水爆禁止世界大会が六日、広島での日程を終えた。この一年間、北朝鮮による核実験やイランの核開発問題などの核不拡散・核軍縮に逆行する世界情勢に、平和運動は危機感を募らせている。現状を変えるため草の根の声はどう影響力を強めうるのか。意見交換は活発だった。

 二つの大会で繰り返し提起されたのは、二〇〇五年に核拡散防止条約再検討会議が決裂に終わったのを踏まえ、「次回の一〇年再検討会議の成功へ、国際世論を盛り上げよう」という意見だ。「今度も失敗すれば、核兵器廃絶への道筋は大きく後退する」との焦りは強い。

 それだけに、NPT参加を拒むインドとの間で原子力協定交渉を進める米の核政策全般に対して批判が噴出した。

 国内問題としては、国民投票法が成立したことにより、憲法九条改正が「現実の危機」として議論された。原爆症認定集団訴訟で国が六度も敗訴する中で、被爆者と若い世代とが語り合い、連帯を深める試みも多彩な行事を通じ模索された。

 久間章生前防衛相が、原爆投下を「しょうがない」発言し、引責辞任して間もない時期の大会開催。皮肉にもこの発言は、「原爆は二度と使われてはならない」という被爆者の願いと、国内世論とが重なり合うことを示した。この勢いを平和運動の力につなげることができるのかが、今後問われる。(金崎由美)


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