アジア

テヘラン平和博物館(イラン)

(08年10月17日)

◆広報・国際関係担当 シャリアール・ハテリ

 テヘラン平和博物館は2007年6月、イラン・イラク戦争(1980-88年)の毒ガス犠牲者の慰霊碑と同時に、テヘラン市内の公園に完成した。建物はテヘラン市が寄贈。設立資金は、地元の非政府組織(NGO)「化学兵器被害者支援の会(SCWVS)」や国内外の個人、団体などから寄せられた。

 化学兵器が人や環境に対し、長期間にわたってどんなに深刻な影響をもたらすか-。顔や体の皮膚が焼けただれた子どもら、フセイン政権下のイラク軍から化学兵器攻撃を受けた被害者の写真や証言、街の様子を展示している。被害者証言を収録、保管する作業も進めている。

 交流型の平和センターとしての役割も果たす。軍縮や平和教育に関するワークショップを開いたり、平和文化、国際人道法などに関連した会議を開催。国内外のアマチュア芸術家による平和をテーマにした作品を集め、常設展や企画展にも取り組む。広島の原爆資料館やベトナムの戦争博物館などとの連携も検討中だ。

 博物館は、創設にかかわったメンバーが広島市を訪れ、原爆資料館を見学したことがきっかけで開館した。広島では資料館が原爆被害の実態を紹介し、平和の大切さを浮き彫りにしている。イランでもこの博物館を通し、化学兵器がもたらす惨劇と、平和を求めることの大切さを訴える必要があるのだ。

住所 City Park (Parke shahr), Tehran, Iran
電話 +98-21-66731076
ホームページ www.tehranpeacemuseum.org
休館日 金曜日
入館料 無料

(2008年10月6日朝刊掲載)

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毒ガス被害にあった子どもたちの写真を展示している館内


毒ガス被害者の写真。広島の被爆直後の写真や被爆者の写真と並べて紹介している。


テヘラン平和博物館の入口