アジア

九・一八歴史博物館(中国遼寧省)

(09年7月17日)

◆研究室主任 高建

 1931年9月18日夜、奉天(現瀋陽市)郊外の柳条湖で、旧日本関東軍が旧南満州鉄道の線路を爆破した「九・一八事変」(満州事変)が起こった。当館は事件発生現場にあり「九・一八事変」の歴史を専門的に扱う重要な教育拠点だ。

 「九・一八事変」の60周年記念日に開館。1999年9月18日に新館が完成し、江沢民前総書記が博物館の題字を書いた。敷地面積は3万5千平方メートル、建築面積は1万2600平方メートルにも及ぶ。

 記念碑前にある釣り鐘には「勿忘國耻」(国の恥を忘れるな)と刻まれ、毎年9月18日夜、地元の行政や経済界代表が集まり、鐘を鳴らす。次世代へ「歴史を忘れず平和を大切にする」ことを伝えるためだ。

 常設展では、旧日本軍による中国東北地方の支配、抗日戦争について解説。歴史を振り返り、平和の大切さを学ぶことをテーマにしている。たくさんの写真や資料、遺品、油絵、映像、彫刻を展示し、中国語と日本語、英語で表記。細菌兵器の開発を進めた旧関東軍防疫給水部(七三一部隊)の人体実験場を再現した大型模型もある。

 開館から間もなく20年。国内外からの見学者は900万人を超えた。橋本龍太郎、村山富市両元首相ら日本の政府関係者の来館も多い。「歴史をかがみに未来へ向かう」の精神に基づき、平和を守り、日本と一緒に努力し、両国の友好な未来を築くことを目指す。

住所 中国遼寧省瀋陽市大東区望花南街46号
電話 +86-(0)24-88331678
休館日 月曜
入館料 無料

(2009年7月6日朝刊掲載)

※写真はクリックすると大きくなります。


旧日本軍による占領の歴史を解説するコーナー。無料ガイドも提供している (掲載通り)


「満州事変」の60周年(1991年)に建てられた「残暦碑」


 九・一八歴史博物館の外観


旧満州国で、中国人捕虜が使っていた食器の模型


釣り鐘「警示鐘亭」。毎年9月18日夜、この鐘の前で記念式が開かれる