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ジュニアライター発信

ハッピークローバー 原爆の悲惨さ 映画で

 「ハッピークローバー」(広島市南区)は毎年8月6日の前に、「平和映画上映会」を段原公民館(同)で開きます。小さな子どもから大人まで、30~40人が訪れます。短編の原爆アニメを上映した後、被爆者の体験談を聴きます。

 映画の中には、むごい描写(びょうしゃ)が含まれたものもあります。そのため、怖(こわ)くなって見ることができなくなる子どももいます。それでも、代表の藤原(ふじはら)みどりさん(39)は「原爆の悲惨(ひさん)さをよりリアルに表現する映画を見せることは必要です」と語ります。

 団体は10年ほど前に設立されました。きっかけは、小学2年の女の子が、「平和に関して書く」という学校の宿題に困って、藤原さんに相談してきたことです。藤原さんが子どものころは、地域で原爆映画の上映会などがよくありました。それが今は被爆者も減り、平和について学ぶ環境(かんきょう)がほとんどありません。そこで、平和学習の機会をつくろうとしたのです。

 藤原さんには、特に心に残った作品があります。音の付いていない映画「ピカドン」です。子どもたちが遊んだり、母親が家事をしたりする日常的な様子から、原爆投下直後の地獄(じごく)のような広島の光景への変わりようが印象深いそうです。ことし上映しました。

 映画を見た比治山小6年の保田英子さん(11)は「本当にあったことだと実感して悲しくなります。大人になっても、この事実を伝えていきたい」と話します。

 被爆者に体験談を聴く時は、子どもたちに身近に感じてもらえるよう、地元に関係のある被爆者に依頼(いらい)します。中には、家族にも体験を話したことがないのに、上映会で口を開いてくれた人もいました。

 藤原さんは「会をきっかけに、いろんな分野で戦争・原爆は駄目だと発信してほしい」と強調します。僕は、新聞で発信していくことが大切だと感じました。(中3・松尾敢太郎)

(2013年9月23日朝刊掲載)

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