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ジュニアライターがゆく

[ジュニアライターこの一作] 「戦争がなかったら 3人の子どもたち10年の物語」(高橋邦典著)

少年兵の印象変わる

 西アフリカのリベリアでは、1989~2003年に民族対立による内戦が続きました。報道写真家の筆者は、現地で出会った3人の子どもたちを追います。

 その中の1人、少年兵のモモは当時13歳。軍の兵力を増やすため、強引に集められた少年兵です。麻薬(まやく)でコントロールされ、自由を奪(うば)われた生活は、あまりにも悲惨(ひさん)です。「戦いの前は、麻薬や酒を飲んで勇気をだすんだ」「人も平気で殺せる」というモモの言葉は衝撃的(しょうげきてき)でした。

 戦後も社会に順応できず、突然(とつぜん)うつろな表情になることもあったというモモ。彼は何を感じていたのでしょうか。私は、背丈(せたけ)の半分以上もある機関銃(きかんじゅう)を手にした少年兵たちの写真を何度も見返しました。

 今まで私は「少年兵=強い男の子」という印象を持っていました。しかしこの本を読んで、若い彼らが本当は弱くても、気持ちを押(お)し殺(ころ)すしかなかったのだ、と気付きました。

 これは遠い国の話ではなく、学生が戦場に行き、労働を強いられた日本の戦時中とも重なります。「お国のため」に死ぬことが正義だと「洗脳」し、一人一人をただの戦力として扱(あつか)う戦争。いつの時代もどの国でも、戦争が人の心に残す傷の深さを考えました。(高3沖野加奈)

(2018年4月10日朝刊掲載)

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