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ジュニアライターがゆく

[ジュニアライターこの一作] 「7つの名前を持つ少女 ある脱北者の物語」(イ・ヒョンソ、デヴィッド・ジョン著)

苦しい生活 想像絶す

 核開発やミサイル発射を続ける北朝鮮(きたちょうせん)に対し、私はこれまで「非人道的」という一面的なイメージを抱(いだ)いていました。しかし、脱北者の著者が壮絶(そうぜつ)な体験を告白したこの本を読み、北朝鮮で暮らす人々の苦しみにも思いをはせるようになりました。

 本に書かれている北朝鮮の地方の暮らしは想像を絶するほど過酷(かこく)です。著者によると、階級制度で人生が定められ、多くの国民が情報を遮断(しゃだん)される中、イデオロギー教育を受け、反体制的な言動がないか、お互(たが)いを監視(かんし)し合うそうです。

 「北朝鮮は最も偉大(いだい)な国」と信じて育った著者は17歳の時に、好奇心(こうきしん)から1人で自宅を飛び出し、中国へ向かいます。不法滞在者(たいざいしゃ)として捕(つか)まれば強制送還(きょうせいそうかん)され、収容所に入れられるため、何度も名前を変えながら、危機を乗り越(こ)え、韓国(かんこく)に亡命しました。

 私が著者を知ったのは、米国の非営利団体TEDがインターネットで公開している講演を見たことがきっかけです。彼女(かのじょ)は現在、脱北者の人権擁護(ようご)活動に取り組んでいます。北朝鮮では今この瞬間(しゅんかん)も、自由を奪(うば)われ、恐怖(きょうふ)や貧困(ひんこん)に苦しむ人がいます。多くの人がそのことに関心を持ち、脱北者や北朝鮮の国民の人権を守る取り組みが広がってほしいと思います。(高1池田杏奈)

(2018年1月29日朝刊掲載)

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