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ジュニアライターがゆく

[ジュニアライターこの一作] 「ピカドン だれも知らなかった子どもたちの原爆体験記」(講談社編)

傷ついた広島の記憶

 原爆投下時に4~6歳(さい)だった少年少女たちが、小学5、6年生のときに書いた原爆体験記34編のうち、15編を紹介(しょうかい)しています。2000年に広島市西区の己斐(こい)小で見つかった作文集「原爆の思い出」をもとに編集されました。

 小さいころに体験し、感じたことを子どもの目線で書いているため、家族や友達が急にいなくなり、町の景色が一瞬(いっしゅん)で変わった原爆の恐(おそ)ろしさが鮮明(せんめい)に伝わってきました。

 6歳だった児童は、あの日みた光景を「たおれかかった電柱、こわれた家の窓、きずついた人、ぼろぼろの服を着て泣きながら走って来る女学生」と振り返ります。5歳だった児童は「あたまから体からけがだらけで血がながれたりしていて、人のかおなどぜんぜんわからないほどであった」「思い出しただけでもぞっとする」とつづります。

 読んでいると、一つの爆弾でたくさんの人が悲しみ傷つき、苦しみを味わった情景が目に浮かびました。同じ己斐小の卒業生で、児童文学作家の那須正幹(なす・まさもと)さんの解説も掲載(けいさい)されています。当時の子どもたちの思いを知ることが、平和を築くことにつながると思うので、多くの人に読んでもらいたいです。(中2桂一葉)

(2018年6月12日朝刊掲載)

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