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ジュニアライターがゆく

[ジュニアライターこの一作] 「八月九日のサンタクロース」(西岡由香著)

今から思いを贈ろう

 「みんな 大切なひとに 思いを 願いを プレゼントして生きている」。主人公のまゆは物語の最後でこうつぶやきます。つらい体験をあえて語ろうとする被爆者や、自分を助けてくれる周囲の人たちの優しさに気付き、「きっと誰(だれ)もが 誰かのサンタクロースなんだ」と続けます。

 1945年8月9日午前11時2分、長崎に落とされた、たった一発の原爆は人々の暮らしや心、古里を破壊(はかい)しました。70年以上たつ今も傷痕(きずあと)は街のあちこちに、人の心の中にも残ります。とても悲しいことです。

 中学2年のまゆは東京から長崎へ引っ越し、新聞部に入ります。取材するうち、被爆した祖父母たちの「もう誰も原爆で死なせたりしない」という願いに触(ふ)れ、大切な人たちの思いを、誰かに伝えたいと考えるようになりました。

 私たちにできることは、被爆した人たちが語ってくれる記憶を真剣(しんけん)に聞き、心に刻むことです。被爆体験を直接聞けるのは、私たちが最後の世代かもしれません。「いつか」ではなく、「今」行動することが大切です。私もジュニアライターとして、自分の思いを他の誰かに伝える「サンタクロース」になりたいです。(中3風呂橋由里)

(2018年11月26日朝刊掲載)

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