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ジュニアライターがゆく

[ジュニアライターこの一作] 「爆心地ヒロシマに入る」(林重男著)

奪われた命 見つめる

 写真家の林重男さんが原爆投下の約2カ月後に、原爆災害調査団として広島市と長崎市を訪れた記録と、林さんが撮影(さつえい)した多くの写真が掲載(けいさい)されています。

 爆心地付近の広島商工会議所の屋上から撮(と)った写真は、瀬戸内海(せとないかい)の島々が見えるほど広島市が焼け野原になったことが分かります。「こんなばかな」「夢ではない、現実の光景なのだ」―。林さんは思わずそうつぶやいたそうです。1発の原子爆弾による破壊力(はかいりょく)や脅威(きょうい)を感じました。

 長崎に移動した林さんは、爆心地近くの城山国民学校を訪れます。学校の校庭には、子供たちの遺骨が残り、林さんが体を震(ふる)わせながら撮ったという写真の遺骨はとても細く、小さな子供が丸まっているように見えました。

 私は、校庭で元気に遊んでいた小学生の頃(ころ)を思い出しました。子供たちがどんな気持ちで亡くなっていったのだろう、なぜ小さな尊い命を奪(うば)う必要があったのだろう、と考えました。

 平和学習で被爆後の広島、長崎の写真を見たことはありますが、この本を読み、目を背けたくなるような光景を撮影し、後世に残そうとした林さんの思いを知ることができました。林さんが残した写真を通して、原爆の恐ろしさや命の大切さと向き合い、次世代に伝えていきたいと思います。(高3池田穂乃花)

(2018年9月11日朝刊掲載)

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