『ジュニアライター発』 被爆3世 堂畝さんの写真展
19年2月18日
逆境ばねに 前向く大切さ
広島市出身で被爆3世の写真家、堂畝(どううね)紘子さん(36)の作品展「生きて、繋(つな)いで」が、中区の平和カフェ「ハチドリ舎」でありました。
堂畝さんが撮るのは被爆3世の人の家族写真。被爆者の祖父母から、孫までの3世代が一緒(いっしょ)に集まった温かい光景です。2015年に始めましたが、最初は「自分が撮ってもいいのか」と悩(なや)んだそうです。
迷いが晴れたのは16年の秋に原爆ドーム前で、ある家族を撮ってから。中心に写った被爆者のおばあちゃんが生きたからこそ、家族のつながりや絆(きずな)を写真で表せたと思えたからです。「生きた記録を残せるのは写真だけ」と力を込(こ)めます。
昨年の西日本豪雨で安芸区の自宅が床上浸水(しんすい)。人ごとと感じていた災害が目の前で起き、過去に聞いた被爆体験と重なったそうです。「生きたからこそ続けたい」と、中区に仮住まいしながら活動に励(はげ)みます。
被爆者が亡くなる知らせが相次ぎ、残された時間の少なさを痛感します。「平和を考える扉(とびら)が身近にあると伝えたい」。逆境をばねにして前を向く大切さを私も感じました。(中2桂一葉)
(2019年2月18日朝刊掲載)