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原画で巡る この世界 呉市立美術館 5日から企画展

 戦時下の呉市などを舞台にし、アニメ映画でも人気を博した広島市出身のこうの史代さんの漫画「この世界の片隅に」の全原画をそろえた企画展が5日、呉市幸町の市立美術館で始まる。11月3日まで。

 全48話の原画421枚と、初展示の下絵4枚を含む資料70点が並ぶ。背景など細部まで丁寧に手書きした、こうのさんの熱意や工夫が伝わる。

 登場人物の一人で遊郭の女性リンの生い立ちが、口紅の線で描かれていく一連のこまは、実際に赤い口紅と鉛筆が下絵に使われている。制作に用いたペンや鳥の羽根などの文房具、時代背景を整理するための年表や取材メモもある。

 同展に合わせ、呉の戦後復興の歩みを伝える写真展を同時開催。瀬戸内市出身の緑川洋一(1915~2001年)の30点が並び、空襲で破壊された呉海軍工廠(こうしょう)が造船工場として再始動していく姿などを伝える。

 豊田芳春学芸員は「戦後75年を迎えた今年、漫画の主人公すずさんの生きた時代や呉の歴史に思いをはせてほしい」と話す。一般500円など。火曜休館(9月22日は開館し、翌日休館。11月3日は開館)。(仁科裕成)

(2020年9月5日朝刊掲載)

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