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費用 予算要求へ 「黒い雨」援護対象区域検証 厚労省

 広島市への原爆投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を巡る国の援護対象区域の検証で、厚生労働省は24日、作業に必要な費用を2021年度予算の概算要求に盛り込む方針を示した。同日あった自民党の被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟の会合で同省の担当者が説明。議連側は作業を急ぐよう求めた。

 検証の方法について田村憲久厚労相は18日の記者会見で「人工知能(AI)やスーパーコンピューターなどを使いながらシミュレーションする」と言及。同省の担当者は「当時の気象だけでなく、爆風や火災などのデータを積み上げたい」と説明した。作業開始の見通しは「専門家を選定中」などとして示さなかった。

 広島原爆の「黒い雨」訴訟で原告84人全員を被爆者と認めた7月29日の広島地裁判決への対応で、加藤勝信前厚労相(岡山5区)は援護対象区域について「拡大も視野に入れた再検討をする」と表明し、控訴断念を求めてきた市と県が控訴に転じた。代表世話人の寺田稔氏(広島5区)は「控訴審判決までに結論が出るよう早急に進めてほしい」と訴えた。(桑原正敏)

(2020年9月25日朝刊掲載)

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