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耐震再調査踏まえ結論 広島知事 被服支廠巡り見解

 広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)の存廃で、広島県の湯崎英彦知事は24日、耐震性を再び調べた上で最終的な結論を定める考えを示した。昨年12月にまとめた安全対策の原案「2棟解体、1棟の外観保存」は、その前提が大きく変わる可能性があるとして、年内にまとまる再調査結果を基に整理すると説いた。

 この日始まった県議会一般質問で、安全対策の原案について「前提となる耐震指標や安全を確保するための工事費が大きく変わる可能性がある」と説明。2020年度一般会計補正予算案に3千万円を計上した再調査について「結果を県議会に報告し、しっかり議論して最終的な方向性を整理したい」と理解を求めた。

 答弁では再調査で、県が所有する1~3号棟のれんが壁の強さや建物の基礎、地盤の安全性などを調べるとした。1棟当たりの活用に必要とされる33億円をどれだけ圧縮できるかや、耐震補強でどんな工法が採れるかを探るという。

 建物の利活用にも言及した。4号棟を所有する国と、被爆建物の保存ノウハウを持つ広島市に「責任ある立場で検討に加わってもらいたい」と訴えた。

 県は安全対策の原案について、被爆者団体や県議会の要望で20年度の着手を先送りした。建物と同じ時期にできたとみられる周囲のれんが塀を今年3月に撤去し、強度を調べたところ、想定を大幅に上回ると判明。耐震化費用を3分の1に圧縮できる可能性があるとして、今月4日に再調査する方針を表明していた。(樋口浩二)

(2020年9月25日朝刊掲載)

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